鯨を飲む

くうねるところ のむところ

納豆、それから工具箱

納豆にハマりつつある。と言っても私が納豆を食せるようになったのはここ2.3年ほどの間のことで、おいしく食せるようになったのは半年ほど前からだ。超ビギナー。まだ納豆を納豆としてしか食べたことがない。(納豆玄人の友人たちは皆、「納豆トーストや納豆カレーがたまらなくおいしいのだと言う。) 元々納豆に旨味が存在していることにさえ疑ってかかるような人間だったのに、面白いくらいに今、納豆がおいしい。最近なんてとうとう毎朝、ちいさいサイズの納豆を食べ始めた。味覚は変化するとは言うけれど、こうも劇的に変わっていくものなのだなぁ。おかげでいよいよ嫌いな食べものと言うのが無くなりつつある。強いて言うなら柿とメロンと生のきゅうり。それからバター醤油味全般。避けて通れるのなら避けたいだけで、これらだって別に食べられないわけではない。きゅうりに関しては工夫しだいでどうとでもなる節がある。

納豆をおいしく食べられるようになればそれはもう勝ちだなと思っている。納豆さえ食べていればかなり無敵な感じがしている。困ることなんて無さそうですらある。(納豆しか食べないのは流石にダメだろうけれど。)

 

今日も夕方になると雷が鳴り響いていた。近頃はずっとこんな調子だねと言うと、回る椅子に腰掛けた妹が「夏はこんなものだよ」と答える。夏。夏がもう終わるらしい。あくまで便宜上の話だからまだまだずっと暑いのだろうけど。

20年以上使い続けている本棚(明らかに私の蔵書に対してスペースが不足している)にいい加減ガタが来ていた。今のタイミングで本棚を買い換えることは得策ではないのだから、修復にいそしみ、騙し騙しやっていく他なかった。そのため私は工具箱からトンカチを引っ張り出して、本棚に片っ端から打ち付けていく。私しかいない部屋に、似つかわしくない重い音が響いていた。すっかり酷使されていた本棚。見上げながら、こんなに在ったって仕方がないなと思う。本当に仕方がない。50冊ほどの本達を紐で縛ってゆく。どれもこれも、かつて私が夢中になったものたち。叶うならすべてを持っていたいと思う。けれどどうせそれは叶わないわけだし、本棚は有限だし。

 

明日から9月。まだまだ暑いから気を引き締めてゆく。