鯨を飲む

くうねるところ のむところ

おいしいもの忘備録(室蘭・函館編)

f:id:kurolabeloishii:20241103221107j:image

9月下旬。3泊4日で室蘭→函館を訪れていた。かれこれ5回目の北海道だったわけだが、今回もおいしいものと巡り会う機会に恵まれたので、記憶に残っているおいしいものたちを選出してみたくなった。未だに北海道のごはんたちが恋しくて仕方がないので、切なそうにしている胃を慰めながら書いてゆく。いつかの私が再びおなかいっぱいになるためにも。ちなみに何を食べても本当においしかったのだがそれだとキリがないので、特に印象的だったものを中心に纏めることとする。

 

◾︎ 揚げたてポテトチップス アスパラベーコン味(千歳空港店限定)/ カルビープラス新千歳空港

f:id:kurolabeloishii:20241103221129j:image私が新千歳空港で食べる定番と言えば、かま栄のパンロールだとか、一幻のえび味噌ラーメン(この世で最も好きな味のラーメン)だったりする。お土産の定番は佐藤水産の鮭ルイベ漬け。心から愛してやまない食べものたち。とは言え今回はなるべくいつもと違うものを食べたいと思っていた。空港に降り立った途端、尋常ではないほどの空腹に見舞われてしまい、若干引きながらも友達に何かおすすめのおやつはあるかと連絡したところ、「きのとやのチーズタルト」と即答されたので向かったは良いが、待ち時間が確実に30分は超えるであろう行列だったため引き返した。代わりに何だかんだ行ったことがなかったカルビーに向かった。お腹がぺこぺこだったので全然働いていない頭で「とりあえず限定と書いてあるし……」という理由だけで味を選んだ。 カルビープラスは凄い。手が汚れないように親指と人差し指用のビニール指袋が存在する。持ち歩くための紙袋とビニール袋まである。完璧すぎる。

おいしい。とにかく本当においしい。溜め息が出る。友達からも「暫くこれのことしか考えられなくなる」と言われていたが、全くもって同意見だ。今後食べるポテトチップスは全部これが良い。塩味がしっかりしていてスパイシーで、温かくてさくさく。匂い自体はかなりアスパラ感が強いので一瞬「味が強すぎたらどうしよう……」と不安になったが、アスパラベーコンの風味がしっかりしつつも全然くどくない。ビールも買うんだったとかなり悔いた。(きのとやチャレンジ失敗によりかなり時間がカツカツだったため、購入できず……。)北海道バター味も俄然気になるので次回に期待。多分両方を交互に食べるのが一番おいしい。

 

◾︎ 安政浪漫 / 二世古酒造

二世古酒造 | 安政浪漫

ここ最近飲んだ日本酒の中でもトップクラスに好きだった。食事を楽しみながら酒を嗜むのであればこれ以上に適したものもそうあるまい。良い意味で主張が控えめで、すっとした米の甘さがただただおいしい。舌触りが柔らかでするする飲めてしまう。なんて美しい飲み物なんだろう。取り寄せるか真剣に考えている。物凄く好みだった。

 

◾︎豊浦すいーといちごわいん / はこだてわいん

豊浦スイートいちごわいん720ml

苺のワイン……?気になる!となって飲んだところ、驚くくらい気に入ってしまい、そして翌日の午前中に人生初の二日酔いに見舞われることになる。それくらいおいしい。特に苺系の酒は甘いイメージが強くて寧ろやや苦手なのだが、このワインは甘いは甘いが、妙にすっきりとしていて後口が良く飲みやすい。おいしい。液体として好き。香りも良い。お土産にも買って帰った。

 

◾︎塩さばおにぎり / セイコマート(ホットシェフ)

二日酔いだったので写真がない。けど、二日酔いながらも二回にわけて食べ切ったくらいにおいしい。そもそも私はかなり鯖が好きだ。新幹線の中できずし(しめ鯖)を食べるくらいには好きだ。ふっくらとしたおにぎりは結構大きめで、如何にも人の手で結んだような形をしている。米粒が潰れておらず、食むと口当たりが柔らかい。じゅんわりとした鯖の油が最高においしい。フレーク状に解した鯖は身がしっかりとしていて、近所にセイコマがあったら絶対毎回買っていたと思う。というかあの鯖フレークを単体でも販売して欲しい。

 

◾︎生ハム / La Concha

f:id:kurolabeloishii:20241103221212j:image
魚介が好きなので魚介を食べたがっていたら「海鮮が豊富だしスペイン料理はどう?」という思わぬ変化球を受けた。地元の食材を使ったバルで、特に道南の豚と海塩だけで作られた生ハムが兎にも角にも絶品。塩味と濃い旨味が絶妙で、一口食べるたびに毎回驚きがある。しょっぱいところと旨いところがひたすら交互にやって来る。ずっと口の中に入れていたいくらいおいしくて、何より舌触りが滑らか。お土産として売って欲しい。この先食べる生ハムはこれが良い。今でも味が忘れられず、思い出すたび舌がきゅっとする。他にもパエリヤ(スペイン式五目ご飯、と公式HPにあるようにどちらかと言えば薄味で、魚介の出汁がふんだんに使われている)や各種ピンチョス、スペイン風コロッケなども食べたがどれもおいしかった。また行きたい。

f:id:kurolabeloishii:20241103221248j:image
 

◾︎アロッソコンレッチェ / La Concha

f:id:kurolabeloishii:20241103221311j:image
ついぞ名前を覚えることはなかったデザート。名前を見ただけでは一体何なのかまるでわからなかったが、頼んでみた。初めて目にする文字列すぎて嬉しい。仄かに感じるスペインや中南米でよく食べられている、米を牛乳で煮たデザートなのだと店員の方が教えてくださった。 お粥感は全くない。舌触りとしては滑らかでクリーミー……プリンというよりはパンナコッタに近かった気がする。しっかりと効いたシナモンの風味と、確かに感じる米の気配。終始不思議で普段なかなか口にしない味わいだったが、ワインと食事によって満たされた胃にはちょうど良いデザートだった。

 

◾︎しまほっけ / えびす食堂

f:id:kurolabeloishii:20241103221330j:image
北海道に行ったら兎に角絶対にしまほっけを食べてくれ!!!!!!!!しまほっけがおすすめ。

小さな海鮮丼(蟹、ウニ、ホタテ)と一緒に焼きたてのしまほっけも注文した。海鮮丼も生臭さが全く無く、おいしすぎるのだが、何よりもほっけが本ッッッ当においしすぎる。この先食べるほっけは絶対に絶対に全部これが良い。いくら北海道とは言え、こうまで味が濃いものか……。風味と脂のバランスが最高すぎるのと、身がふわっふわ。柔らかすぎる。とろとろ。全てが黄金比率の食べもの。地元の百貨店で買うほっけだってとてもおいしいのに、それを容易く軽やかに超えてくる。あと身が大きい!友達と半分こしても充分な満足感がある。ただ、おいしすぎるので一人でもまるまる一匹分をぺろりと平らげてしまえるだろう。 一口食べた瞬間、サッポロクラシックを注文した。朝8時半から飲むビールは最高。缶ビールではサッポロ黒ラベルが一番好きな私なのだが、サツクラも大好き。

 

◾︎海鮮丼 / さわ7

f:id:kurolabeloishii:20241103221439j:image

今回の旅において思い入れ深いお店。雰囲気もこじんまりとしていながらも活気があって好き。ひとりで呑んでいたら全然知らない地元のおじさんが蟹を分けてくれたりした。最終的に盛り上がり、店主も交えてひたすら話をしていた。良い夜だった。

街灯の少なすぎる道を進んでいくとふいに現れる店だった。辺りが静かすぎるほど静かだった。お得にボリューミーな海鮮丼を食べられるという前情報があったので頼もうとしたところ、「ハーフサイズもありますよ」とお店の方が親切に教えてくださったのでそちらを注文。ハーフサイズでもこの溢れようである。魚の全てが全く生臭さがなく、脂がしっかり乗っていて何を食べてもおいしかった。北海道で食べる雲丹はどこまでも本当においしい。鮭ルイベもあったので当然食べた。お店で食べるのは初めてだったが、想像よりもしゃりしゃりとして冷たくておいしかった。

f:id:kurolabeloishii:20241103221501j:image

 

 ◾︎ブレンドコーヒー / 十字屋珈琲 函館駅二朝市店

f:id:kurolabeloishii:20241103221628j:image
f:id:kurolabeloishii:20241103221633j:image

朝市を練り歩いているときに偶然見かけたので立ち寄った。というか吸い寄せられていた。だって周りが海鮮一色な中、急にカウンター席が現れて珈琲屋の看板を掲げていたら気になりすぎる。店主曰く、函館で最も古い珈琲屋なのだという。

美鈴珈琲がソフトな口当たりなのに対して、こちらはよりしっかりした味わいだった。ロケーションと穏やかなマスターの語り口調も相まってすっかり虜に。創業以来変わっていない看板のイラストつきのマグカップがとてもかわいい。単純な味の好みでいうと十字屋だけど、天気のよい屋外でベンチに座ったり歩きながらアイス珈琲を飲むときには美鈴珈琲の軽やかさも良くって……。結局どちらも好き。


◾︎トラピストクッキー / トラピスト修道院

目の前で丁寧に淹れられたオリジナルブレンドと、お茶請けとして用意されていたトラピストクッキーを頼んだ。この組み合わせがとにかく相性抜群だったので強くオススメしたい。素朴で優しい味わいのトラピストクッキーに心を奪われたため、お土産として購入しては人に会うたびに配り歩いていたが、そのたびに「ぜひ珈琲と一緒に!」と伝えていた。ずっと食べたい味がする。こういうクッキーが結局一番好き。


◾︎霜だたみ / 六花亭

f:id:kurolabeloishii:20241103221953j:image

今回の旅での甘味部門堂々の第一位である。オモコロチャンネルの六花亭回にて絶賛されていたので、五稜郭店を訪れた際に購入した。全てがパーフェクトな食べものすぎる。それくらいおいしすぎて度肝を抜かれた。六花亭の商品を全て食べたわけではないが、恐らく六花亭の中で一番好きだと思う。というか数ある銘菓の中でもトップに君臨した。モカホワイトチョコのクリームが挟まったパイのさくっ……とした歯ごたえ。霜の積もった道を歩くときに似た、軽やかながらも中身の詰まったあの感じ。甘さは控えめながらもカプチーノの粉感を感じさせる味わい。何もかもがちょうど良い。本当においしすぎる。絶対にお土産で買った方がいい。六花亭の「ちょうど良さ」は芸術だと思っている。今までは「言うてもホットケーキでしょう?そんなに変わらないよ」と思っていたが、もしかして六花亭(実店舗)で食べることができるホットケーキって物凄くおいしいのでは……?と思い至ったので絶対に食べる。


◾︎六花のつゆ / 六花亭

f:id:kurolabeloishii:20241103222010j:image

この手の華やかでうつくしい見目の菓子に対して憧れているが、その度に惨敗してきた人生である。糖度に対する耐性が低めなのだ。背の高い煌びやかなパフェに喜び勇むも、1/3を過ぎた辺りから露骨にスプーンの進みが悪くなったりする。そんな私が怯えながら口にしたわけだが、おいしい。ちょっと感動してしまったくらい食べやすい。六花亭の甘さはいつも上品でありがたい。(とは言えマルセイバターサンドはヘビー級だと思う。マルセイはずっしりして豪華絢爛。)何より口に入れたときの「くしゅ」と崩れる食感と来たら!砂糖でコーティングされたお酒が舌いっぱいに広がる様と来たら!個人的にはハスカップ味とコアントローが一押しで、特にハスカップが本当においしい。全部ハスカップ味のつゆが欲しい。それくらい本当においしい。おおきいサイズがあるのも嬉しいが、小さな缶を持ち歩いたり小物入れにするのも良い。


◾︎カズチー / 井原水産

f:id:kurolabeloishii:20241103222034j:image

今回、「絶対にこれは持って帰って!」と道民の友達が名指しした唯一の商品。白ワインと合わせるために持ち帰った。個包装なのが嬉しいが、開封後3日以内に食べきらないといけない。(と、パッケージに注意書きがされている。)でも全然食べ切れる。余裕で消える。数の子が苦手なひとでも食べられるくらいチーズがしっかりとしている。数の子のぷちぷちとした食感が楽しい。チーズが濃い。おいしい。白ワインに合う。酒好きはとりあえず買ったら良いと思う。食感が楽しい食べものが好きだから嬉しい出会いだった。

 

◾︎毛蟹 / 朝市にて購入

f:id:kurolabeloishii:20241103222546j:image

思い出を作ろう!と意気込んで人生で初めて自分のために蟹を買った。届いた蟹を自らで捌き、もくもくと食べた日の豊かさと楽しさよ。身は勿論おいしいのだが、蟹味噌の味に衝撃を受けた。グラタンのようなクリーミーさ。と言うかもはやグラタンだったと思う。蟹味噌と言うのはある種、エグ味だとか苦味、磯臭さを楽しむものだとばかり思っていたというのに、驚くくらい。全く磯臭くない。エグ味も苦味もない。本当に全くない。ふわふわした柔らかな口当たりと濃厚なコクだけが広がっていく。今までの常識が覆るような不思議な心地でいた。身もおいしい。だけど蟹味噌がおいしすぎる。

 

 

他にもたくさんのおいしいものを食べた。友人夫婦がせっせと焼いてくれた室蘭焼き鳥(鳥と言いながらも甘辛いタレと豚肉を使った室蘭の串焼き料理である)がおいしくて、いつになくおかわりをしてしまった。その時に出してくれたいくらと白米が1:1の割合のいくら丼もおいしかった。すごい量のいくらだった。鹿肉のジャーキーも変わらずにおいしい。この家で食べる鹿肉は本当に柔らかく、臭みが全くないのだ。他にも、アボカドと海老をあえた、僅かにレモン風味のもの。何回でも食べたいと強く訴えたのち、レシピをせがんだところ、先日レシピが届いた。近々作る。よく晴れて暑いくらいの函館の街で飲んだ、透き通るようなオレンジ色をしたアイスティー。細かく砕かれた氷がグラスの中で浮いている様にときめきながら見惚れていたこと。

本当によく食べた旅だった。その上で、寧ろ痩せて帰って来たのだから北海道という土地は広大なことこの上ない。よく食べ、よく飲み、よく笑い、よく歩き回った秋の旅。