鯨を飲む

くうねるところ のむところ

2020-01-01から1年間の記事一覧

大晦日、床の上にて

大晦日の到来に面食らっている。クリスマスが来たと思えば一瞬で距離を詰められたような感覚。年末に久々に会った友人と書店へ行き、年越しに備えて本を見繕った。結局今年中には読めなかったもの、読み返したいもの、読んでみたかったもの。これだけあれば…

ストーブをつけた部屋にて

起きている時間は大抵論文を執筆している。昨日は1日中ほぼ一切集中力が切れない日で、水を得た魚のような心地でいた。脳髄に快楽物質がだばだばと溢れ出てでもしているのだろう。こういう瞬間があったせいで、私は今、寒い部屋でストーブをつけながら、こう…

皮ごと食べる

最近、キウイを皮ごと食べている。キウイの皮が食べられると知ったのが一年前。どうにも食べる気になれずにいた。キウイは動物のような果実だなと思う。毛が生えていて、掌サイズで、ころっとしていて。それがなぜ、急に食べる気になったかと言うと、何の気…

のんべんだらり

慌ただしさにかこつけて、ちっともブログをしたためやしない。これでは遠出記録に成り果ててしまいそうだ。それはそれで面白そうだけれど。山を歩き、流れる川を眺め、宿の離れでのんべんだらりと過ごす休日。二十代半ばにもなって、未だに木々が色彩豊かな…

幼い頃から船がすきだ。ちいさなものから客船まで、並々ならぬ憧れを抱いている。海が好きだ。泳ぐというよりは今では眺める方がよほどすきで、海の近くを訪れると肌が喜ぶのを感じる。前日の雨が嘘のように明るく晴れた空とどこまでも青い海を眺めながら、…

川沿いと金木犀

身体がどこか鈍く重い感じがしており、散歩がしたいと思ったので散歩をすることにした。本当なら、今日は夜の予定までに研究を進める予定だったのだけれども。いつかの誕生日に友人が贈ってくれたワンピース(袖口と首元が可愛らしい)を纏い、ランニング用の…

灯り

素晴らしいカフェのことをふと思い出していた。寒い日の薄暗い店内には囁くような音楽が流れていて、深い赤の中で揺らめくちいさな灯りのひとつひとつが、まるで魂のようだった。 先日、髪を切った。あと7cmは伸ばすのだという意気込みは呆気なく散り、再び…

金曜日の雨

木曜日から急に冬の気配が迫ってきた。夜、眠るときに冬用の布団をかぶりながら扇風機を回す必要もなくなってしまった。台風が接近しているらしく、今日からしばらくは雨が続くのだと気象予報士は繰り返す。 朝からとめどなく雨が降りしきり、街を覆う空気ご…

エンジンを吹かせたい

すっかりと自堕落な日々を過ごしてしまっていた。ちっともエンジンが吹かず、修論を抱えている身としては流石にこれではいけない。 映画『ミッドナイトスワン』を観たり、YouTubeにあるヨガ動画に従ってみたり、ひとり暮らしを始める友人に対して勝手に胸を…

秋の気配

夏用の布団を片付け、秋冬用の布団の出番がやってきた。布団乾燥機をかけて寝床の支度をする。この頃は霧のような雨が降ったり、夕焼けがやけに赤かったりと、ますます秋めかしくっていた。過ごしやすい季節のことをなみなみと愛している。 普段は街中で暮ら…

図書館から届いた資料を読み進めたり、論文を書いたり、返却期限が切れても一向に図書を返却しない人間に憤ったりしながら過ごしている。腰の具合は随分良くなって、もう痛みはないし、あとは日々のストレッチを怠らないようにするだけ。 2~3年振りに友人と…

人間とか愛とか

腰に別の生きものを飼っているような心地で日々を過ごしている。私とはまったく違う生きものが張り付いているような、腰との共生。以前よりも強く存在を感じているし、一層世話を焼くようになった。ストレッチの重要性と人体の脆さを痛感している。 最近ひと…

魔女の一撃

とうとう私も魔女の一撃を喰らってしまった。日本ではこれを「ぎっくり腰」と呼ぶらしい。そう、ぎっくり腰。遂にそういうフェーズが来てしまったのか……という落ち込みのような面白みのような感情を抱いている。ぎっくり腰に年齢に年齢はあまり関係ないこと…

納豆、それから工具箱

納豆にハマりつつある。と言っても私が納豆を食せるようになったのはここ2.3年ほどの間のことで、おいしく食せるようになったのは半年ほど前からだ。超ビギナー。まだ納豆を納豆としてしか食べたことがない。(納豆玄人の友人たちは皆、「納豆トーストや納豆…

あなたの色

基本的には在宅暮らしだし、外出してもマスクを付けているし、だから当分リップを買うのは控えよう(代わりにアイシャドウで遊べばいい)と思っていた矢先に買ってしまった。応援している女の子がどうも最近、すっかりコスメにご執心なのだと言う。少し前まで…

しみじみと沁み入る

近頃ダンボールに詰まった梨が届いたので、夕食後には決まって剥いた梨をしゃくしゃくと食べている。水分が多く、それでいてけっして水っぽくはなく、そこはかとない甘さが一層身に沁みる。幼い頃の私は林檎がとても好きだった。林檎のあの、わかりやすい甘…

ビビン麺と雷雨

ブログのデザインをリニューアルした。今後は基本的にSNSで投稿の共有はしないつもりでいる。(内容によってはするかもしれない。例えば何かの感想とか) なのでもしこの雑記を読んでいる奇特なひとがいるのなら、ぜひ暇なときに気まぐれに覗いていって貰える…

夏を煮込む

毎月必ずひとつ、決めごとのようにニキビができる。時期さえバラバラであるものの律儀というか、もはや従順ささえ感じる。 なかなか思うように外出ができず、燻ってしまう夏をどうにか楽しむためにかごバッグを買った。貧乏性というか大雑把というか「どうせ…

夏とかもめ

バタバタとひとつ慌ただしいものが終わったと思うと、気づけば朝から蝉がけたたましく鳴いており、すっかり8月に入っていた。 奇しくも去年と同じような時期に、再び私は京都にいた。去年ほど楽しい用事ではなかったけれど。途方もなく暑い坂道を登ったり、…

雨上がりの夕方、まっさらな空気のこと

例えば、雨上がりの夕方の冷ややかさ。酸いも甘いも洗い流され、まっさらになった空気のこと。例えば道路の向こうへ伸びる空。夕焼けのサーモンピンクと、灰色に水色を足したような雲が重なり合ってちぎれた模様をなしていること。途中、並んだ赤信号の群れ…

レモンスカッシュは甘くない

ヒールを脱いで素足になる瞬間がすきだ。だからと言って、ヒールをあいせるかというと また別の問題だけれど。 適当に入った喫茶店で割高のレモンスカッシュを頼む。埃を被ったレジに、くすんだ硝子。店内にはくたびれたサラリーマン風の男たちが、珈琲を傍…

雨の降らない朝

長く続いていた雨がようやく落ち着きを見せ始めている。 朝にはじいじいと蝉が騒がしくて、顔を顰めながら目を覚ます。じっとりと肌を覆うような熱。夏が始まっているのだなあと感じる。長い雨が終わって、久々に街に繰り出す。昨日の話だ。家の中で完結した…

つやつやした色彩

鮮やかでつやつやした、おいしいものたち。暑いし忙しいし体調を崩しがちだしで夏は苦手だけれど、食べものは大すきだ。夏野菜は溌剌としている。このところ、頭の中にモヤがかかったような感覚が取れずにいる。意識が数歩離れたところにある感じ。うっかり…

ぎちぎちしてきた

連日、絶え間なく雨が降り頻っている。予報では、2週間ほど降り続くらしい。まとまった雨。いかにも梅雨らしい。ブルーライトカットの眼鏡のおかげで頭痛はあまり起こらなくなっていて、けれど酷い雨のせいで毎日身体がどんよりと重たい。 雨の中、ヘアサロ…

ラムレーズンへの憧れ

アイスクリームのことを考えている。中でもラムレーズン味のアイスクリームのことを。 ラムレーズンのアイスクリームがすきだ。それも多分、味覚的な嗜好というよりはもはや、ある種の憧れに近い。味よりも存在としての方がすきな食べものというのは、時とし…

シルクハットの猫と島

交通機関を使って一時間ほどのところにある街はとにかく坂が多い。通勤時間を避けたにも関わらず電車の中はそれなりに混んでいて、身体に悪そうな冷房がどんどん私の皮膚と内臓を冷やしていった。去年と同じサンダルを履いて、去年と同じ坂道を下ってゆく。…

あたらしいメガネとムスクのかおり

ブームがわかりやすい本棚の中身。 暮らしには工夫が必要なのだと嘯きながら街に出た。灰色の空は鈍くて、自己主張の激しい雨音とタイヤが水溜まりを跳ねる音ばかりが聞こえている。久々に電車に揺られながら、もしかするとやや薄着だったかもしれないと不安…

寝そべりながら

このところシンプルに具合が悪い。身体のどこかしらに痛みがあるし、全体的に怠いし、なのでインターネットもからっきしだ。どうにかケアに努めながら、あとはやっぱりトマトやキウイばかりを食べながら暮らしている。リフレッシュのために外に出ようにも、…

偶然について、および切り立ての前髪

切り立ての前髪の扱いにいつも悩まされている。2月ぶりに満を持して訪れた美容室で、とある本を読み進めていた。今年の私がどうしても読みたいと思っていた1冊。 どうして本当に必要な本というものは、本当に必要としているときにこそやってくるのだろう。渇…

果てがない

プラスチック容器にぎっしり入ったプチトマトを食べてばかりいる。洗ってヘタを取ればそのままひょいひょい食べられるのでとてもすき。夏になるとおやつにもトマトを食べてしまう。つやつやの赤は可愛らしい。 夕方になると網戸にしてある出窓から涼しい風が…