鯨を飲む

くうねるところ のむところ

2019-01-01から1年間の記事一覧

年越しの夜

大晦日。朝から祖母と餅をこさえ、3軒分のおせちを詰める。つきたての餅のにおい。手のひらを真っ赤にさせるほどの熱さ。毎年豊かな朝だ、と思う。そして毎年のように気に入りのたい焼き屋で たい焼きをひとつ食べた。大晦日には決まってカスタード味を選ん…

2019年に読んだ本のこと

今年はここ数年の中でも、結構本を読んだ年だったように思う。学術書ばかりではなく、娯楽としての読み物にも恵まれていた。だから多くのものに出逢えたし、そのどれもがかけがえのないものだし、本棚はまた増築しなければならない。 せっかくインターネット…

聖なる夜に

「クリスマスイヴだからプレゼント交換をしない?」と誘ったところ、昨日は朝から友達と通信をして、ポケモンの交換会をした。気がついたらとっくに昼を回っていて、お互い用事をするべくゲームを閉じる。彼女はクリスマスディナーの食材を買いにスーパー、…

師走

さすが師走だと讃えたくなるほどのバタバタ具合だ。年末年始はいつだって凄まじい速度で走り抜けてゆくから敵わない。毎日気づけば日が暮れていてゾッとする。一昨日、おでんで熱燗をちびちびしながら、凝りがほぐれてゆくのを感じた。どうも12月は肩に余計…

幸福の色

いつも歩く道がようやく真っ黄色になっていた。足元がさわさわと鳴る様や、視界に広がるこっくりとした黄色。私の一等あいする光景。マフラーに頬を埋めながら、最近はずっと微笑ましい心地で、あたりに積もったイチョウを踏みしめている。そうしていると、…

ゲームとアイス、嬉しい日

買いました。ぽってりした黄色がとびっきりチャーミング。2019年をなんとか乗りこなした自分へのご褒美且つクリスマスプレゼント。お店に買いに行ったとき、本当にわくわくして足取りが軽やかで、お金を支払うときは踊り出したいような気分だった。たくさん…

身軽であるということ

先日、親しい友人と同じゲームを買う約束をした。そもそも私はゲームをちっともやらない人種だから、ゲームを買うこと自体数年ぶりだ。買ったゲームで友達と遊ぶのなんて小学生の頃以来だ。おかげで、吊るされた餌を前にソワソワする日々を過ごしている。 今…

掃除と譲り受けたシャツ

掃除に費やした休日。 同じく掃除中だった母に呼ばれ、母が昔着ていたシャツを譲り受けた。刺繍もボタンも全てが繊細で、洗練された感じがして、うつくしい。「ヨーロッパの街並みを歩きたくなるね」と言えば、実際これは母がヨーロッパに行ったときに着てい…

あたたかな浴槽の中で

とにかく寒い。私は毎日のようにバイクに乗るけれど、あまりに風が冷たいので、とうとうコートではなくスノーウェアを着てゆくようになった。 寒がりだし、ものぐさだし、大雑把だし。どうにも私は冬に向いていない性分の気がする。それでも冬になると当然寒…

じっとして待つ

凍えるように寒々しい火曜日。 外に出た瞬間、あまりの空気の冷たさと鋭さに、ひるんでしまった。室内にいても今日は指先や唇や、頬(つまりは全身)から血の気が引いていたので、逃げまどうように自販機に向かった。そこで、本当に寒いときにそうするみたいに…

乾燥がつらい夜

人間と人間の話がすきなのだなぁ ということが大変よくわかる一角。 夜の9時に眠って、朝の9時に起きた。このところどうにも内蔵に元気がなく、注射を打ったりする割には 違和感や ときに痛みを訴えたりしていた。しっかり眠ったおかげか、この1週間の中で…

ひくめの日

普段よりローテンションな1日。黒いプリーツスカートに黒いチェスターコートという出で立ちだったので、とにかく全身が黒かった。そういえばリュックも革靴も黒だ。靴下は紫色だったから辛うじてセーフセーフ。 ぼんやりとした意識の間で講義が終わり、とぼ…

香りと栗のケーキ

先月の台風によって延期になった予定を堪能してきた。妹のショルダーバッグには私の私物が、私のかばんには妹のキーケースとICカードが入っている。なぜか互いに互いの荷物を預けている私たちは、いっそ暑いくらいに晴れた中を歩いてゆく。 調香師の方にカウ…

寒い日のクリームシチュー

見事な秋晴れにも関わらず、バイクに乗りながら頬に受ける風はひりひりと鋭い。雲のきわめて少ない空や、川沿いに並ぶ木々の赤さが日に日に深まってゆくのを眺めながら、私の頬は今、寒いのか 痛いのか あるいは熱いのか 一体どれが相応しいのかと考えに耽っ…

近頃すっかり寒くって

鞄の中も秋色に。この時期になるとこの文庫をつい、持ち歩いてしまう。 今日は朝から鼻がぐずぐずしていた。季節的にも風邪なのか、アレルギー的なものなのかの判断がつきにくいから、どの薬を飲むべきなのかを考えあぐねている。夜はすっかり寒くて、ベッド…

そういう時期

朝から生徒たちの調査報告を聞いては、指摘や助言をするというのを繰り返すうちに午前は終わった。大変なのは生徒たちの方なのだけれど、私も私でよくやった方だと思う。講義後、何人かの生徒たちが私のアドバイスを求めてきた。たったのそんなことでさえも…

例えば、今日みたいな日を

夏みたいな陽射しの中を、秋らしい風がそよぐ日。一度会ってみたいと思っていたひとにようやく会うことができた。 数年前、インターネット上で出逢った彼女。きっかけは私の趣味とはまったく関係のない 強いて言うのであれば暮らしのことを呟いていたアカウ…

ピンクが揺れる

ひとと話をしてばかりの月曜日。 講義中だというのに教授を交えてドクター課程へ進学するか否かで悩んでいる留学生と(主に先々の心配事について)話をしたり、勤務時間中には別学部の院生と他愛のない話をしていた。 彼女は気さくで、素朴で、賢いひと。ほそ…

本について

明日は昼に家を出ればいいので、いつもよりすこし 夜更かしができる。毎週というわけではないのだけれど、金曜日は時たまこういうことがある。と言っても最近はこの時間になるともうすっかり欠伸が出始めてしまう。つまりは私の中にある時計の針が ただしく…

まるくて白い

昨晩の様子。 2種類のスポンジと無花果のたくさん詰まった おおきな白いドーム。まんまるで すべすべで 豊かなうつくしさ。本当はてっぺんにも切った無花果がみっつ乗ってあったのだけれど、写真を撮るのを忘れてしまった。それほど はやく食べたかったとい…

珈琲とドーナツ

月に一度、家にドーナツが届く。 大抵それは夜遅くのことで、22:00以降にチャイムが鳴ればほぼ間違いなくお隣さんだし、そうするとほぼ必ず手にはドーナツがあった。今回は紙袋がふたつ。うちひとつに入ってあるハロウィン仕様のドーナツを見て、9月もおわり…

ひかり、におい

親友に誘われ、街へ繰り出す休日。 相変わらず当直明けの友人と一緒に映画「おっさんずラブ」を見に行く。とても面白かった!驚いたのは、いくら連休初日とはいえ広いシアター内がほぼ満席だったこと。そして客層が本当に幅広かったこと。10~20代の女性のみ…

秋晴れとおやつ

一年前は立ち入りもしなかった場所にも難なく踏み込めるようになってきた。私が普段いる建物よりもかなり古くて埃っぽくて、だけど上の階へゆくほどひとの気配が薄れてゆくところは妙に似ている。建物が変わっただけでそこにいる人間のカラーというか 気配も…

手探り

手探り状態ながらも何とかやろうとしている。最近の私は、ここ半月くらい手元から言葉がばらばらと崩れていくような そんな心地がしないわけではないけれど。それでもおよそ1ヶ月ぶりに細かい文字が羅列された資料を読み、ひたすらキーボードを叩くというこ…

摂取する

外でパンケーキを食べたのなんていつぶりだろう。思えば私が大学生になりたてだった頃、世間はちょうどパンケーキ黄金期で、私たちは来る日も来る日も昼食といえばパンケーキだったし、Instagramの投稿(当時はストーリーなんてなかった)は私もあの子も皆パン…

夏を弔う支度

海を見に行った。 シーズンからやや逸れたおかげか、台風の影響かビーチに見える人影も淋しいくらいのものだった。ちいさな島にある山の上にどんと聳えるホテルに向かって、海岸沿いの道路をうねうねと走らせてゆく。右手に見える太平洋のびやかさと、硝子片…

鼻炎がつらい

9月になってからの私は相変わらず微熱を伴ったまま暮らしている。多分ズレたまま戻っていないものがあるのかもしれない。そのうちに整えばいいなと気楽に構えることにしている。それとは別になぜか今日は朝からくしゃみが止まらなくて鼻をぐずぐず言わせてい…

枯れないもの

「絵を一枚仕上げるたびに、絵にサインを入れるたびに、もうやめよう、これで最後にしようって、考える」 「じゃあ、なんで、やめない?」 「描いてても辛いけど、描かないともっと辛いから」(『セイジャの式日』p.59) 柴村仁の由良シリーズについて。 これ…

魂について

柴村仁の『プシュケの涙』が離れないでいる。 やわい部分の中枢に深く鋭く突き刺さったまま取れてくれない、容赦のない作品。それなのに散々私を打ちのめした後、残してゆくのは絶望だけではない。本当にどこまでも酷い作品だと思う。 この作品、ひいては由…

本と珈琲のにおい

またひとつ、やりたいことリストを消化した。どこかしこも見渡す限り本しかなく、あまりに果てが見えないからひっきりなしにワクワクする。大雨の翌日だったので足元はぬかるんでいたし、晒された首がじんじんと暑かったけれどそんなことがどうでもよくなる…