鯨を飲む

くうねるところ のむところ

掃除と譲り受けたシャツ

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掃除に費やした休日。

同じく掃除中だった母に呼ばれ、母が昔着ていたシャツを譲り受けた。刺繍もボタンも全てが繊細で、洗練された感じがして、うつくしい。「ヨーロッパの街並みを歩きたくなるね」と言えば、実際これは母がヨーロッパに行ったときに着ていたものらしい。一層素敵なシャツだと私は嬉しくなった。

 

夜、テレビの前に座って様々な歌を聴いていた。妹のすきなアイドル、私も最近彼らの歌や番組を見て、すきになりつつあるアイドル。私のすきなアイドル。アーティスト。掃除を終え、くたくたになっていた身体に染み渡ってゆくのを感じる。幼い頃の私の暮らしに、音楽はあまり馴染みなく、だから私には小学生頃まですきなアーティストというものがなかった。卒業文集のすきなアーティストの欄に書きたいものが見当たらなくて、クラスメイトの意見に多く見られた名前をそのまま真似して書いたことを今でも覚えている。「皆と同じでいいよ」と言ったときの、顔を覆いたくなるような恥ずかしさも。成長して様々な歌を聴くようになった。それも深すぎずに、幅広くだったから私は成人する頃までは「音楽が好きだ」と言うことができなかった。今思えば後ろめたさがあったのだと思う。

だけど今、私の暮らしには音楽は欠かせないし、寸分違わずに私はそれらをあいしている。テレビからたくさんのすきな歌が流れてくるのを聴くことは、素晴らしく楽しい。

 

昨日は嬉しいことがたくさんあった。久しいひとから連絡があり、そこにあるのはすべてがすべて、喜ばしいことばかりではなかったけれど、胸がきゅうとなった。親友からはおもむろに連絡があり、行きたいお店の情報が送られてきた。そのお店はなんと昨日の昼に私がふと、「行きたいから誘おう」と思ったものとまったく同じだった。12:50の時刻がかかれたスクショを見て、ふたりして笑ってしまった。私たちは本当に何もかもが違っていて、価値観も、見てきたものも違うのに、それでもたびたびこういうことが起こるのだから不思議だ。遠く離れた地で暮らしていた頃にも、同じ日に同じことを考えているということがあったね。

 

今日も、よく笑った1日だった。どうかやすらかなまま、年末を迎えたいものだ。年の瀬らしくすでに予定がかなり埋まりつつあるスケジュール帳を見ながら、そんなことを思う。