鯨を飲む

くうねるところ のむところ

息を吐く

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宇多田ヒカルの「time」を聴いている。このところはもうすっかりそればかりだ。今週は何よりまず自分の調子を整えることを優先すると決めてから、今日は最近あまりつけていなかった香水をつけてパソコンへ向かう。これから作業をする前に、自分なりの合図として使うのもいいかもしれない。爽やかでやさしいにおい。甘ったるすぎないところが素敵。

休憩がてら本を読む。やっぱりいつもよりだいぶと目が滑った。ふと思い出して、引き出しから手編みのコースターを取り出した。実際に会ったことはなく、数年前に文通をしていたひとりの女性からの贈り物。聡明で、明朗で、ひなたの気配のするひとだった。彼女とは今でも年に数回ほどLINEのやり取りをする。そのたびに自然に溢れた写真をたくさん送ってきてくれる。コースターだけど、なんとなく栞として使う方が私にはいいのかもと気づいた。試してみると馴染みがいい。

 

夕方になってすこし走ってみる。いつもよりも息が浅いのがわかって、途中からは散歩に切り替えた。家族が夕食に私のすきなものを作ってくれると言うので、感謝と共にサッポロ黒ラベルと淡麗を買い足した。明日はキムチうどんを作ってあげようと妹が言う。それも私のすきな食べものだ。ありがとうと言って、剥いたはっさくとキウイをすこしずつ分け合って食べた。

様々なものに怒ってばかりいるのはやめよう。例えそれが正当な怒りで、私がゆるぎなく大切にしている部分であっても。そうではなくて私と、私の周りの人々とが機嫌よく暮らせる方を優先しようと思い始めて何年か経つ。随分自分を乗りこなせてきたと思っていたけれど、なかなか、まだまだ 難しいのかもしれない。でも一方で、ただしいタイミングでただしく怒ることができることの大切さも知っているから。今怒らないと、いつか先の私が傷ついてしまうのではないか という怖さもある。

何はともあれ元気は大切だ。元気がなくちゃ話にならない。まず、何よりも今、この瞬間において。網戸からは夜風がそよいでいて、今夜はすこし 冷えている。おおきな窓を閉めてベッドに腰掛け、お茶を飲む。プラスチックのちゃちなコップを置いてamazonで欲しかった本を迷いなく買った。私の住むまちには本屋がほとんどない。将来、ちがうまちに住むとしたら素敵な本屋がある場所がいい。息を吐く。明日は朝にも散歩をする。帰ったらあたたかなお茶をいれて、時間をかけて飲む。