鯨を飲む

くうねるところ のむところ

柑橘類の皮を剥く

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昨日からすこし寒い。東京では雪が積もるところもあったらしく驚く。こっちはただ寒いだけ。お気に入りの赤いマグに紅茶をいれて飲んだ。

今日から再び中国語の勉強を始めることにした。大学時代、2年ほど中国語を履修していたもののそれももう随分と前の話なので文法がだいぶと怪しい。そもそも単語力がない。でもまさか、再び自分がこうして中国語と向き合うなんて考えてもいなかった。それもこれも『羅小黒戦記』が面白すぎたせいだ。映画を観た帰りに書店に寄り、秒速でテキストを購入した。彼らのうつくしい中国語に触れ、私はかつて音のうつくしさに惹かれ、履修を選んだことを思い出す。あと単純に作中の言葉のひとつひとつの細やかなニュアンスがわかるようになりたいと思ったのだ。私は、ほら。だってオタクだから。

羅小黒戦記について語りたいことは山のように、スカイツリーより高いほどにあるけれど、すべてを言葉にするには勿体ないなと思えるようななにかがある。もう少しじっくり味わっていたい。私は言葉にすることによって整理し、消化し、勝手に納得してしまう節がままあるので。ただ本当に素晴らしい作品だった。出逢があり、葛藤があり、悲しみがあり、そして愛と祈りがある。愛とは何かをこんなにもやわらかに、あたたかく描いている作品を久々に見た。ただあなたのところに居たいということ。おかげで今まで観た中で一番すきな映画になった。私はチャーミングな作品のことがだいすき。この世にはたくさんの愛嬌がある。よいことだ。

書きたいものを漠然と探しているということを前に書いていたけれど、すこしそれに近しいものを見つけた気がする。だから今まで書いてきたものを辞めるとかそういう話ではなくて、ただまたひとつすきなものが増えたということ。すきなものが増えるのはいい。日々が爆発的に楽しくなる。今は特にきっと、そういうものが必要だと思う。拠り所みたいなものが。こんなにも日々、混乱している世の中じゃ。今日も重苦しいニュースは続いている。

そんな中、インターネットで出逢った高校生の女の子が将来についての悩みを聞かせてくれた。不安もあるけれど悩むことは楽しいのだと、やわらかな声で話すのを聞きながら、こちらまでやさしくなってゆく気がした。

私は人間は必ずしも「何者か」になる必要なんてなくって、例え何者ですらないとしても私たちは輝かしいのだと確信をしているのだけれど、なりたい自分を目指して邁進する姿勢はいつ見ても新鮮なにおいがして、眩しいということも知っている。そういうことをふと感じる昼下がりだった。その子も私も、あのひとたちも、私のことを「優しいピンクと強い赤」と言ってくれたあの子も。どうか皆すこやかでいて欲しいと願っている。