鯨を飲む

くうねるところ のむところ

川沿いと金木犀

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身体がどこか鈍く重い感じがしており、散歩がしたいと思ったので散歩をすることにした。本当なら、今日は夜の予定までに研究を進める予定だったのだけれども。いつかの誕生日に友人が贈ってくれたワンピース(袖口と首元が可愛らしい)を纏い、ランニング用の軽いスニーカーを履き、スマホとリップクリームだけが入ったサコッシュを提げる。今日は急に暖かくなっていて、寧ろ暑いくらいだった。

川沿いを歩きながら日差しを浴びる。小学生の声、工場の機械の音、どこかのベランダで布団を叩く音。平日の昼間の街は音がよく響く。川はいかにも街中の川らしく、けっして綺麗ではないのだが、それでもなんとなくそこを歩くのが好きだった。川沿いには大抵雑多な植物が乱雑に生えていて、眺めながら歩いてゆく。金木犀が咲いていることに気づけたのは、上を見ていたからだと思う。マスクのせいか、見るまでにおいはしなかった。秋の薄い色の空と、金木犀のこっくりとしたオレンジ色、葉の深い緑がすきだ。他の花をいちいち見ながら、それぞれ違う葉の色を眺めながら、こういうことを心底気に入ることのできる人間でよかったなと思った。散歩のしがいがある。木漏れ日がゆっくりと橋を照らす様をしばらく見つめていた。

 

帰ると適度な充実感と些細な疲労感があった。トマトジュースを飲んでからベッドに寝そべって一息ついた。少ししたら作業を再開しなければ。そう思いながらも少しだけ今、眠気が現れ始めている。