鯨を飲む

くうねるところ のむところ

のんべんだらり

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慌ただしさにかこつけて、ちっともブログをしたためやしない。これでは遠出記録に成り果ててしまいそうだ。それはそれで面白そうだけれど。山を歩き、流れる川を眺め、宿の離れでのんべんだらりと過ごす休日。二十代半ばにもなって、未だに木々が色彩豊かなことに対して驚いたりしてしまっていた。枯れる前の色がどうしてこうも明るく、うつくしいのだろう。物悲しさや儚さというよりは、力強さみたいなものを感じ取っていた。私は木々の葉が鮮やかだとうれしいが、彼ら(木々)は別に私を喜ばせるために赤いわけではない、 というところがすきだ。

出逢って10年以上になる友人と山を歩きながら様々な話をする。私たちは正反対な人間で、きっと真反対な場所に立ちながら、同じものを見ているのだろうと思った。そして、真反対な立ち位置だからこそ、見える側面が違うのだとも。大人になると相手と自分が違うということを面白おかしく感じられるから良いなと思う。私は依然、歳を重ねることが楽しくて仕方がない。

 

旅館の離れで死体が発見される小説を読みながら、空いた時間を過ごしていた。山手にある旅館の離れはひっそりとしていて、しずかで、親切な気配を纏っていた。最近はかなりミステリに熱を上げている。あっと驚くトリックよりも、緻密で美しいロジックの方がすきだ。最後まで考えることを辞めない人間の力強さがすきだ。彼らにいつだって憧れている。帰り道にハリイ・ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」を読む。

「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中になるとなおさらだ」という言葉から推論を展開し、真相に辿り着くという構造だ。面白い と感心しながら読んでいた。ミステリには私に、考えることのうつくしさを教えてくれる。格好いいなと惚れ惚れしてしまう。生憎と、私は大抵のトリックが暴けないので。

 

先程ようやく論文の最終タイトルが決定したので、明日からは一段階ギアを上げる必要がある。妙に格好の良いタイトルになってしまったので、名前負けをさせるわけにもいかない!