鯨を飲む

くうねるところ のむところ

ちいさな街

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なんとなく身体を動かしたくて、朝から散歩にでかける。よく晴れた土曜日。街にはあまりひとの姿はなかった。まばらに車が行き交っていて、小学校の前の文房具屋はシャッターが降りている。公園のそばを通るとさっそく桜が咲いていて、思わず歩くスピードが緩む。片耳だけつけたイヤホンからは、別の国の歌が流れている。歌詞はよく知らない。なんとなく昨日聴いて、すきだなと思ったのでスマホに入れた。なにを歌っているのかさえ、私にはわかっていない。またあとで調べてみようと思っている。

住んでいる近くに川が流れていて、そのほとりでいくつもの桜の木が咲いていた。ちいさくて、派手なところがなくて、ものしずかで、ひとも穏やかなこの街をなぞるように歩いてく。川には緑がかった水色の橋がかかっていて、道路には時々橙色に塗られているところがあって、そこから見える家の壁はピンク色。この街の一番気に入っている風景をしばらく眺めていた。とくに今の時期はそこに桜のピンクもまざりあって、本当にとてもかわいくって、大好きだ。

 

風もつめたくなくて、あたたかくて、歩いているといっそすこし暑いくらいだった。自販機を探して、カルピスを買って飲む。久々に飲んだカルピスは懐かしい感じがした。

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桜以外も咲いていた。花びらが木の影の上に落ちていたから、まるであたらしい木が生えているようだった。うれしくて写真を撮る。これに気づいていたひとは私以外にもいるんだろうか。ちいさなこの街に。

 

昼に焼きそばを作って食べた。それからは友人と通話を繋いで夕方まであーだこーだと好き勝手話をした。同じものを好いていて、それに対する目線が近しくて、話すたびにお互い頷いていた。はやくまた映画館で映画を見たり、おいしい料理を食べに行ったりしたいね。今、私たちを取り巻く様々なものがあまりにも混沌としていて、たちゆかない日々だけれど。

先日、インターネットに以前書いた小説をアップロードした。多くのひとたちに、少しでも家での暮らしの足しにして欲しいという思いもあるし、私自身も元気が欲しかったのだと思う。おかげで思った以上に励まされている。ありがたいことだ。今日は少し、まったくの別件で落ち込むことがあったけれど(何せ確実に私が悪かった)、また明日からも変わらずやっていこうと思う。