鯨を飲む

くうねるところ のむところ

春の気配

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新しいシャンプーに替えた。拘りなく使用していた以前のシャンプーは、拘りのなさ故に絶妙に合っていなかったように思う。新調したところ2日にしてこうも髪がつるんとしており、今までの暮らしは何だったのだろうと愕然とした。寝癖もつかず、膨らまず、毛先も跳ねず、乾燥も格段にマシになった。合う合わないを見極めることは生活にとって、かなり大切なことらしい。簡単に出来たら苦労はしないのだけれども。

暫くブログを休んでいた間に修士論文を書きあげ、発表をし、試験を終えた。7年間の集大成としては上出来だったように思う。褒められる私を見る教授がどこか誇らしげに見えたことが、一番嬉しかった。嬉しくて、終わってから声を殺して久々に泣いた。最後の最後でとんでもない餞を貰ってしまった。最終試験を感動的なものにしてくれるな、もっと地獄であるべきだろうとも思った。という訳で今は春休み中だ。最も、外では未だ疫病が流行っている為に何かをどう出来るというわけでもない。それはそれで別に構わなかった。

午前中に散歩(ウォーキング)をしたりランニングをしたり、ブックブラシで本の手入れをしたり、本を50冊売ったり、とびきりおいしい豚キムチを作ってしまい自画自賛をしたり、Amazonプライムビデオで映画やアニメを見たり、湯船の中で本を読んだりして暮らしている。今日は畑でもいだキウイを友人におすそ分けしたりした。

 

人々を見ながらふと、ヴォネガットの「愛が負けても、親切は勝つ」という言葉を掲げながら、今日も暮らしてゆこうと改めて思っていた。愛はなくとも私たちは互いを思い遣ることができるし、親切は時に愛さえ超えてしまえることがある。だから私はすべてを愛に委ねるのではなく、知性や親切を信じていたい。

日差しは随分とやわらかで、春の気配が漂いつつあった。こういう日々がすきだなと思う。思いながら、伸びをする。