鯨を飲む

くうねるところ のむところ

雨上がりの夕方、まっさらな空気のこと

例えば、雨上がりの夕方の冷ややかさ。酸いも甘いも洗い流され、まっさらになった空気のこと。例えば道路の向こうへ伸びる空。夕焼けのサーモンピンクと、灰色に水色を足したような雲が重なり合ってちぎれた模様をなしていること。途中、並んだ赤信号の群れを含んだ景観にうつり変わったのに、はっとするほど見蕩れたこと。すっとした空気が腕に触れ、その涼しさにお腹の奥がすこし不安になること。自転車のタイヤで水溜まりを踏みながら、ただ街を眺めていた。雨の上がったばかりの風景がすき。視界の湿っぽさに滲んでゆく色たち。カメラには収めないでおく。撮ってみたものの、目の前にあるのと同じ色が出ないことにガッカリしてしまいたくはないから。

 

アイロンをふと当てながら、アイロン台は本当に賢くて立派な形をしているなあと考えていた。考えてから、こんなにも賢いことを思いついた人は誰なのだろうと気になって、調べてみることにした。便利で、且つ優れた道具を見るたびに、とびきりすごいなぁと感心してしまう。大きなビルや校舎を見上げたときに、「これを造ったひと達はすごいなぁ。人間は背丈が200cmもない者ばかりなのになぁ」と思うのもそう。よく考えると、私は未だに、たびたび様々なことに驚いているように思う。

結局、アイロン台を考えたのが誰なのかはわからなかった。(検索が浅かったのかもしれない。)丁寧に調べたら分かるものなのだろうか。

 

中学生からの付き合いの友人たちがいる。私も含め皆、何やら自分たちの人生に新しいものを呼び込もうとしているらしい。嬉しく思う。きっとそういう時期なのだろうなとも思う。一緒の制服を6年間着続けた彼女たち。新しいことを始めても、始めなくとも、私たちは愉快にで楽しくいましょうね。