鯨を飲む

くうねるところ のむところ

夏を煮込む

毎月必ずひとつ、決めごとのようにニキビができる。時期さえバラバラであるものの律儀というか、もはや従順ささえ感じる。 なかなか思うように外出ができず、燻ってしまう夏をどうにか楽しむためにかごバッグを買った。貧乏性というか大雑把というか「どうせ…

夏とかもめ

バタバタとひとつ慌ただしいものが終わったと思うと、気づけば朝から蝉がけたたましく鳴いており、すっかり8月に入っていた。 奇しくも去年と同じような時期に、再び私は京都にいた。去年ほど楽しい用事ではなかったけれど。途方もなく暑い坂道を登ったり、…

雨上がりの夕方、まっさらな空気のこと

例えば、雨上がりの夕方の冷ややかさ。酸いも甘いも洗い流され、まっさらになった空気のこと。例えば道路の向こうへ伸びる空。夕焼けのサーモンピンクと、灰色に水色を足したような雲が重なり合ってちぎれた模様をなしていること。途中、並んだ赤信号の群れ…

レモンスカッシュは甘くない

ヒールを脱いで素足になる瞬間がすきだ。だからと言って、ヒールをあいせるかというと また別の問題だけれど。 適当に入った喫茶店で割高のレモンスカッシュを頼む。埃を被ったレジに、くすんだ硝子。店内にはくたびれたサラリーマン風の男たちが、珈琲を傍…

雨の降らない朝

長く続いていた雨がようやく落ち着きを見せ始めている。 朝にはじいじいと蝉が騒がしくて、顔を顰めながら目を覚ます。じっとりと肌を覆うような熱。夏が始まっているのだなあと感じる。長い雨が終わって、久々に街に繰り出す。昨日の話だ。家の中で完結した…

つやつやした色彩

鮮やかでつやつやした、おいしいものたち。暑いし忙しいし体調を崩しがちだしで夏は苦手だけれど、食べものは大すきだ。夏野菜は溌剌としている。このところ、頭の中にモヤがかかったような感覚が取れずにいる。意識が数歩離れたところにある感じ。うっかり…

ぎちぎちしてきた

連日、絶え間なく雨が降り頻っている。予報では、2週間ほど降り続くらしい。まとまった雨。いかにも梅雨らしい。ブルーライトカットの眼鏡のおかげで頭痛はあまり起こらなくなっていて、けれど酷い雨のせいで毎日身体がどんよりと重たい。 雨の中、ヘアサロ…

ラムレーズンへの憧れ

アイスクリームのことを考えている。中でもラムレーズン味のアイスクリームのことを。 ラムレーズンのアイスクリームがすきだ。それも多分、味覚的な嗜好というよりはもはや、ある種の憧れに近い。味よりも存在としての方がすきな食べものというのは、時とし…

シルクハットの猫と島

交通機関を使って一時間ほどのところにある街はとにかく坂が多い。通勤時間を避けたにも関わらず電車の中はそれなりに混んでいて、身体に悪そうな冷房がどんどん私の皮膚と内臓を冷やしていった。去年と同じサンダルを履いて、去年と同じ坂道を下ってゆく。…

あたらしいメガネとムスクのかおり

ブームがわかりやすい本棚の中身。 暮らしには工夫が必要なのだと嘯きながら街に出た。灰色の空は鈍くて、自己主張の激しい雨音とタイヤが水溜まりを跳ねる音ばかりが聞こえている。久々に電車に揺られながら、もしかするとやや薄着だったかもしれないと不安…

寝そべりながら

このところシンプルに具合が悪い。身体のどこかしらに痛みがあるし、全体的に怠いし、なのでインターネットもからっきしだ。どうにかケアに努めながら、あとはやっぱりトマトやキウイばかりを食べながら暮らしている。リフレッシュのために外に出ようにも、…

偶然について、および切り立ての前髪

切り立ての前髪の扱いにいつも悩まされている。2月ぶりに満を持して訪れた美容室で、とある本を読み進めていた。今年の私がどうしても読みたいと思っていた1冊。 どうして本当に必要な本というものは、本当に必要としているときにこそやってくるのだろう。渇…

果てがない

プラスチック容器にぎっしり入ったプチトマトを食べてばかりいる。洗ってヘタを取ればそのままひょいひょい食べられるのでとてもすき。夏になるとおやつにもトマトを食べてしまう。つやつやの赤は可愛らしい。 夕方になると網戸にしてある出窓から涼しい風が…

すっぱさを取り込む

トマトを丸々ひとつと、みじん切りにした新玉ねぎをオリーヴオイルと米酢、塩胡椒と僅かながらのきび糖とを軽く混ぜてマリネばかりをこさえている。薄くスライスしたトマトを食べるよりもなんとなくちゃんとしているような気がして、精神的にもやさしくて気…

息を吐く

宇多田ヒカルの「time」を聴いている。このところはもうすっかりそればかりだ。今週は何よりまず自分の調子を整えることを優先すると決めてから、今日は最近あまりつけていなかった香水をつけてパソコンへ向かう。これから作業をする前に、自分なりの合図と…

眼科へ行った日

朝から眼科へ向かう。最後に受診したのは数年前だった。目に空気をあて(未だに怖いので苦手)、視力をはかり(眼鏡やコンタクトがないと笑えるくらい何も見えない)、診察室へ。ものもらいだと思っていたのだけれど、どうやら違うらしく霰粒腫なのだと先生は言…

空腹を抱えて寝転んだり

立夏らしく、じっとりと暑い1日だった。私の部屋には壁一面ほどの大きな窓があり、西陽がよく入ってくる。おかげで夏が近づくと空気が少し重くなる。 謎解きのゲームで友人と遊んだり、家族のロードバイクを借りたりしてGWを過ごした。今日は骨盤矯正のクッ…

良い茶葉、そして謎解きの夜

パヤパヤ虫を避けながら散歩をしたり、川沿いを走ってみたり、ストレッチポールと戯れたり、ベッドの上で伸びをしたり。肩を凝らしたり、目を疲れさせたりしながら暮らしている。ゆったりとしていると言えば聞こえはいいけれど、時間の流れがどことなくぎこ…

風の強い日と花

昨日も風が強い日だった。干したままの洗濯物が何度も窓をべっしんべっしんと叩いている。タスクを終えた夕方、走るような気分ではなかったから散歩にでかける。気に入りの音楽を聴きながら住宅の間を縫うように歩いては、川べりや小学校の裏へも進んでゆく…

風が吹きつける窓の外

風が一際つよく吹いている。4月も末だというのにこの頃また寒くなりつつあって敵わない。忙しいのかそうではないのかよくわからない日々の中で、思いのほか元気にやっているように思う。最近の楽しみは新しく迎え入れたノートになにを書こうかと考えること。…

女の子たち

春用のワンピースや、籠のように編まれた白いパンプスをろくすっぽ身につけないまま、気づけば葉桜の季節になっている。僅かながらのジョギングのさなかに見かけて、やや切なくなってしまう。 在宅での暮らしが続いている。今日はzoomを使っての会議があった…

巣で暮らす

妹のつくってくれるあおさ入りのたまご焼きや、ジャージャー素麺や、にんじん、きゅうり、茄子、玉ねぎ、鶏ササミがごろごろと入ったキーマカレーや、ふわふわのフレンチトーストとカリカリに焼いたベーコンなどを食べながら暮らしている。昨日のおやつは手…

ちいさな街

なんとなく身体を動かしたくて、朝から散歩にでかける。よく晴れた土曜日。街にはあまりひとの姿はなかった。まばらに車が行き交っていて、小学校の前の文房具屋はシャッターが降りている。公園のそばを通るとさっそく桜が咲いていて、思わず歩くスピードが…

柑橘類の皮を剥く

昨日からすこし寒い。東京では雪が積もるところもあったらしく驚く。こっちはただ寒いだけ。お気に入りの赤いマグに紅茶をいれて飲んだ。 今日から再び中国語の勉強を始めることにした。大学時代、2年ほど中国語を履修していたもののそれももう随分と前の話…

ミモザ、チーズ、そしてやさしさ

日曜日。三連休の最終日だというのに、街や駅は平日のように空いていた。自粛によるものなのかどうか一概には言えないが、経済的な打撃の跡をまざまざと突きつけられる。この日は友人とお茶をし、映画を観、それから食事をした。彼女と私の誕生日祝いを兼ね…

随分あたたかくなりまして

春になると毎年必ず鈍臭いミスをおかしてしまう。気が抜けているのだと思う。今日がまさにそれで、今まで通りおおきな損失があるわけでもなく、ただ時間と労力が溶けてしまっただけの話だった。致命傷にはならないけれど、紙で切った指先はまあまあ痛い。そ…

丁寧さが欲しい

雪のようなものがちらついた、指先が凍るように寒い日。多くの すきなものに囲まれた誕生日だった。以前から欲しかったアイシャドウパレットと、春にふさわしい賑やかなワンピースを手に入れた後、デパ地下でパフェのようなケーキを買う。夜には平目のムニエ…

綺麗なものの話

ホワイトデーのお返しを沢山もらった。お菓子とお酒。フルーツ酒なので可愛げがある。甘いお酒だからお菓子を食べるときに飲もうと思う。夜、妹がすこしはやめの誕生日プレゼントとしてリップをくれた。春にぴったりの明るい色。6店舗も探したらしく、それだ…

カラメルソースと謎の肉

昨日は午後からよく晴れた1日だった。待ち合わせていた友人たちの到着が大幅に遅れていた。よくあることだし、ひとりで時間を使うことはなにも苦ではないので、勝手にそこらを歩き回ることにする。知らない土地だったけれどそばには随分と長い商店街が構えて…

口を大きく開けてみたり

気づけば3月になっていて驚いてしまう。この頃はさすがに気忙しくて、うっかり迷走してしまいそうになったりもして、けれどなんだかんだ落ち着くところに落ち着きそうな予感がしている。今日は歯医者に行って抜糸をした。4針縫っていたので、その糸をするす…